まだ、寒い。
空が少しずつ明るくなり、
昼の時間が少しずつ長くなっていく。
長い冬を耐えた人々が、
かすかな希望を見いだしはじめた。
森を歩く人が増え、
すれ違うとき、
軽く会釈する人も多くなった。
道端の枯れ草のあいだから、
いくつかの Blåsippa が
すでに顔を出していた。
あまり温かくはない陽の光のなかで、
透き通るように、静かに。
公園では、
厚着をした老人たちが
日向ぼっこをしながら話し込んでいた。
そのそばを通りかかると、
歩行器を押した老人が
不意に声をかけてきた。
「Blåsippa」と、
口ごもるようにつぶやきながら。
老人の指先を目で追うと、
小さな紫色の花が一輪、
地面から顔を出したばかりだった。
まだ冷たさの残る陽の光のなかで、
薄い花びらが、
かすかに光を透かしていた。
二人で、
しばらくその花を眺めていた。
二日後にまた同じ場所へ行くと、
そこにはひっそりと、
Blåsippa の群れが広がっていた。
枯れ草と枯れ葉のあいだから、
やわらかな紫色が
そっと浮かび上がっていた。